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Manthly Class | DECEMBER 2015

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Torta alla nocciola | ヘーゼルナッツのケーキ

今夏、イタリア ピエモンテ州を訪れる機会に恵まれました。 イタリア北部、トリノを中心とするピエモンテ州はバローロ、バルバレスコと高級イタリアワインの産地として有名で、車窓の景色はならだかな丘にぶどう畑が永遠と広がっています。その合間にこんもりとした小さな木々が植えられていて、それがヘーゼルナッツの木だと教えてもらいました。ヘーゼルナッツもまたこの土地の特産物。ヘーゼルナッツペーストとチョコレートを合わせた「ジャンドゥーヤ」「ジャンドゥイオット」はトリノの名物になっています。今回ご紹介した<Torta alla nocciola>ヘーゼルナッツのケーキはピエモンテの郷土菓子。一口食べた瞬間に感動したお菓子の一つです。この味を再現したくて、試作を重ねました。

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<Torta alla nocciola>ヘーゼルナッツのケーキは、ピエモンテの特産物のヘーゼルナッツをふんだんに使った焼き菓子です。材料は卵、砂糖、薄力粉、ベーキングパウダー、無塩バター、そしてたっぷりのヘーゼルナッツ(郷土では薄力粉を入れない方もいるようです)。こんなにシンプルなのに感動するほど美味しい秘訣はヘーゼルナッツにありました。皮付きのヘーゼルナッツを空焼きし、フードプロセッサーでパウダーにして加えるのです。そうすることによってあの香り高く、味わい深いケーキが仕上がることがわかりました。皮なしのものやヘーゼルナッツパウダーを使ってもできますが、やはり風味が落ちるように思います。
その土地ならでは実りを生かした郷土菓子のシンプルな配合は、いつもお菓子作りの原点を思い出させてくれます。そして、どうしてそのお菓子が生まれたのか、そのお菓子に使われている材料とその土地との関わり、その土地の歴史・風土、人々の暮らし。1つのお菓子を通して、その土地の様々なことを知ることもお菓子作りの楽しみの一つです。

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Semifreddo alla nocciola | ヘーゼルナッツのセミフレッド

ヘーゼルナッツを使ったもう一品はヘーゼルナッツのセミフレッド。<Semifreddo セミフレッド>はイタリア語で“Semi”半分、“freddo”冷たい。シャーベットまでは冷たくないクリームのたくさん入ったアイスデザートです。イタリア菓子の特徴は卵、特に卵黄をたっぷり使ったお菓子が多いように思います。このセミフレッドも卵黄に熱々のシロップを入れて泡立てるボンブ生地をベースにしています。他にボンブ生地を使うお菓子というとティラミスやザバイオーネが有名でしょうか。そのボンブ生地に泡立てた生クリームを加えて冷やし固めます。今回はキャラメリゼしたヘーゼルナッツとビターチョコレートを加え、濃厚でリッチなセミフレッドに仕上げました。

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セミフレッドには皮を剥いたヘーゼルナッツを使います。空焼きしたヘーゼルナッツをキャラメリゼし、冷まして固まったら綿棒で適当な大きさに砕きます。キャラメリゼする前に半分ほどの大きさにあらかじめヘーゼルナッツを刻んでおくと、キャラメルがナッツによく絡まります。それを刻んだビターチョコレートとともにセミフレッド生地に合わせパウンド型に流して冷凍庫へ。なめらかな生地の中にカリッとしたキャラメルの食感と、後から広がるヘーゼルナッツの香りを楽しめるデザートです。

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日本ではほとんど見ることのないヘーゼルナッツの木、ピエモンテ州では家の庭や畑の一角などあちらこちらで見かけました。ヘーゼルナッツの実はひとまわり大きいどんぐりのような見た目で、硬い殻を割るとあの可愛らしい丸い実が顔を出します。日本で売られているヘーゼルナッツの多くはトルコ産がですが、製菓材料店などではイタリア産も手に入れることができます。今回のレッスンではピエモンテで購入したヘーゼルナッツを使いました。バルバレスコの家族経営のワイナリー・アドリアーノではワインとともにヘーゼルナッツ栽培を昔から力を入れているとのお話で、販売もしていました。美味しいワインを作る肥えた土地で栽培されるヘーゼルナッツはとても良質で、それを使ってお菓子を作る気持ちも心地よく感じました。

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